窓の奥には少し心配になる程度の天気の空があった。

そこからは湿気を帯びた冷たい風が送られてくる。

時間を感じさせないほど社会と隔離された学校は、

何百年か前の世界を彷彿とさせていた。

教師が去った教室はほんの数名の生徒を除いて

騒音で満たされて、今にも溢れそうになっていた。

もっとも、僕は『ほんの数名の生徒』に分類されるわけだが。

教室の窓に近い後ろの隅という近くて遠い場所に

座っている僕は、話しかけようにも話しかけることはできない。

だが、『特典』といってもなんだが、おしゃべりとはまた違う、

特権をむさぼることのできる場所でもある。

たとえば、教師の目に留まらないこと。

つまり、眠ったことが教師に判明しにくいということなのだ。

そして二つ目……それは窓の外から漂う風味を

一番に感じ、味わうことができることだ。

強いて言うならば、風・遠くから聞こえる拡声器の音・そして景色。

それらは決して珍しくない、日常の中で変わり映えしないもの。

だからこそ、独特の懐かしさを感じ取ることができるのであろう。

周囲でつばを飛ばしながら懸命に口を動かしている人には、

味わえないひとときなのだ。

揺れるカーテンを見つめて考え事をできるのも僕の特権。

今までに挙げたものすべてが幸運のさらに裏にある

幸運なのだとすると、僕は幸運のさらに裏にある幸運を掴んだ、

決して羨ましがられる事のない「ツイてる奴」なのかもしれない。

涼しい日には涼しい風、暖かい日には暖かい風。

だけど今、そこにあるのは涼しげな曇り空のみ。

与えられた今は、たったの一つしかない。

それを楽しむことができれば、明日も楽しんで生きていけるような気がする。



なんつー俺


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2008.06.03 


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